【薬局M&A】M&A仲介業者とは?仲介型・FA型の違い、最低報酬額に注意

中小企業のM&A・事業承継を支援するサクマ・キャピタル・パートナーズです。
近年、調剤薬局のM&A・事業承継に関するニーズを多くいただくようになり、当社でも調剤薬局に専門特化したM&A・事業承継支援サービスの提供を始めました。
本コラムシリーズでは、M&Aを検討している中小零細の調剤薬局オーナーや独立を検討する薬剤師、薬局ビジネスの買収・展開を検討されている企業担当者の方などに向けて、薬局M&Aに関して役立つ知識をご提供していきたいと思います。
今回は、M&Aの中で重要な役割を担う「M&A仲介業者」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」に関して、仲介とFAの違い、報酬体系の注意点(最低報酬額)、そして薬局が仲介業者を選ぶ際のポイントを、わかりやすく解説します。
目次
M&A仲介業者とは?
M&A仲介業者とは、売り手と買い手の両方の間に立って、取引をまとめる専門家です。
主に次のような業務を行います。
- 売却・買収の戦略検討
- 企業価値/事業価値評価
- 買い手/売り手候補の紹介・マッチング
- 条件・契約交渉のサポート
- デューデリジェンスのサポート
- PMIのサポート
薬局M&Aでは、薬機法・調剤報酬・保険薬局指定など薬局特有の知識も必要となるため、
薬局M&Aの経験豊富な仲介会社を選ぶ方が良いでしょう。
仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の違い
M&A支援の形には、「仲介型」と「FA型」の2種類があります。
両者の最大の違いは、「誰の立場で交渉を行うか」です。
仲介 | FA(ファイナンシャル・アドバイザー) | |
---|---|---|
契約形態 | 売り手と買い手の両方と契約する | どちらか一方(売り手 or 買い手)のみと契約する |
目的 | 両者の合意による「成約」 | 依頼者の利益を最大化する |
メリット | 両者の調整がスムーズで、スピーディな成約となりやすい | 利害が明確で、より公平・戦略的な助言が受けられる |
デメリット | (成約を重視しすぎると)一部の利害衝突が置き去りになることも | (リテイナーフィーなど)費用が高め/交渉期間が長くなることも |
向いているケース | 小規模M&A/早期譲渡を希望する場合 | 大型M&A/複数候補と慎重に交渉したい場合 |
ポイント:「仲介」は成約重視型、「FA」は顧客利益重視型。
薬局オーナーの場合、早期譲渡や後継者問題の解決を優先するなら「仲介」が向いています。
一方、売却価格の最大化を狙うなら「FA」型が適しています。
仲介手数料の「最低報酬額」に注意
一般的な報酬体系
仲介会社の多くは「成功報酬型」で、成約金額に応じた手数料を設定しています。
例えば当社では以下のような手数料となっています。
例)当社の成功報酬の目安
<譲渡金額が1億円以下の場合>
譲渡金額 | 報酬金額(全て税別) |
10百万円以下の場合 | 150万円 |
10百万円超~30百万円以下の場合 | 300万円 |
30百万円超~50百万円以下の場合 | 400万円 |
50百万円超~1億円以下の場合 | 500万円 |
<譲渡金額が1億円超の場合>
譲渡金額 | 報酬率(全て税別) |
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
最近増えている「最低報酬額(ミニマムフィー)」
ところが最近、大手仲介会社で、2,000万円や2,500万円の高額な最低報酬額を設定しているケースが増えています。
つまり、例えば3,000万円規模の小規模M&Aにもかかわらず、2,000万円の成功報酬が発生するという可能性があるのです。
例:
A薬局が売却価格3,000万円で成約 → 手数料は「最低報酬2,000万円」適用。
A薬局のオーナーの手残りは1,000万円、実質的な報酬率は66%以上に。。。
M&A仲介の業界としては、小規模M&Aは中小の仲介会社に、大規模M&Aは大手仲介会社に、という役割分担ができ始めているのではないかと思います。
中小薬局にとっては非常に大きな負担になるため、「高額な最低報酬額なし」の仲介会社を選ぶことが重要です。
また、契約時に「完全成功報酬型」か「着手金・中間金・リテイナーフィーがあるか」も必ず確認しましょう。
まとめ:自社の目的に合うパートナーを選ぶ
薬局M&Aでは、「仲介」も「FA」も重要な役割を果たします。
大切なのは、どちらが正しいかではなく、自社の目的に合っているかです。
- 「できるだけ早く、信頼できる相手に譲渡したい」 → 仲介型
- 「複数候補から最高条件を引き出したい」 → FA型
また、費用面では最低報酬額の有無・金額を必ず確認しましょう。
小規模薬局の場合は最低報酬額が無い/低額で、薬局M&Aの経験がある中小の仲介会社が適しているケースが多いかと思います。
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