【薬局M&A】M&Aの流れ(第1回)~ステップ1~3:目的の整理から案件概要書作成まで~

薬局のM&Aは、一見すると複雑に感じますが、実際には「準備 → 交渉 → 成約 → PMI(引き継ぎ・統合)」という流れに沿って進みます。

  1. 準備フェーズ
    1. 目的の整理(なぜM&Aをしたいのか等)
    2. M&A仲介会社等への相談・秘密保持契約(NDA)の締結
    3. 企業価値の算定・案件概要書等の作成
  2. 交渉フェーズ
    1. 買い手候補への打診
    2. 特に関心のある買い手候補との面談・Q&A・条件交渉
    3. 意向表明書の取得・基本合意書の締結
    4. デューデリジェンス(詳細調査)
  3. 成約フェーズ
    1. 最終契約締結
    2. 譲渡実行
  4. PMIフェーズ
    1. 引き継ぎ・PMI(統合)

今回は、その中でも準備フェーズ、つまり「目的の整理」「仲介会社への相談」「企業価値の算定・案件概要書の作成」までを詳しく解説します。

ステップ1:目的の整理

――なぜM&Aをしたいのかを明確にする

M&Aを成功させる第一歩は、「目的の明確化」です。
ここを曖昧にしたまま進めると、後の交渉で迷いや後悔が生じやすくなります。

■ よくあるM&Aの目的

  • 後継者不在への対応
     家族や社員に引き継ぎ手がいないため、信頼できる企業に事業を継いでもらいたい
  • 経営基盤の安定化
     単独では経営が厳しくなっており、グループ化によって経営を強化したい
  • 成長戦略としてのM&A
     他社のノウハウや人材・店舗を取り込み、規模拡大を図りたい

■ 目的を整理する際のポイント

  1. いつまでに譲渡したいか(タイミング)
  2. 何を譲渡したいか(会社・店舗・事業の範囲)
  3. どのような相手に引き継いでほしいか(理念や社内文化、会社規模、地域など)
  4. 従業員や患者様への影響をどう考えるか

💬 ワンポイント:
「いくらで売れるか」よりも先に、「なぜ売りたいのか」を整理することが大切です。
この“目的”が明確であれば、後の条件交渉でもブレにくくなります。

ステップ2:M&A仲介会社への相談・秘密保持契約(NDA)の締結

――専門家に相談し、情報漏洩を防ぐ体制づくりを

目的が整理できたら、次はM&A仲介会社などの専門家に相談します。
薬局M&Aは薬機法や調剤報酬など専門性が高いため、医療・薬局業界に詳しい仲介会社を選ぶことが重要です。

■ 仲介会社に相談する目的

  • 適切な売却(譲渡)スキームの提案
  • 想定される企業価値・相場の確認
  • 進め方・スケジュールの整理
  • 守秘義務や情報管理の確認
  • 買い手候補への打診・情報開示・交渉のサポート

仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、条件調整や契約支援を行うM&Aのパートナーです。
特に中小規模の薬局では、個人で買い手を探すよりも、仲介会社を通すほうが安全かつスムーズです。

■ NDA(秘密保持契約)とは

M&Aの初期段階では、経営情報(売上・利益・処方箋枚数など)を共有する必要があります。
そのため、仲介会社と必ず秘密保持契約(NDA)を締結します。

NDAを締結することで、

  • 経営情報が外部に漏れない
  • 買い手候補への情報開示が段階的に行える
  • 信頼関係のもとで交渉を進められる

当社でも、相談段階から必ずNDAを締結し、守秘体制を徹底しています。
この仕組みがあるからこそ、オーナー様は安心してご相談いただけます。

ステップ3:企業価値の算定・案件概要書の作成

――薬局の「本当の価値」を見える化する

仲介会社と契約を交わしたら、次に行うのが企業価値の算定です。
「いくらで売れるのか」を見極めるための大切なステップであり、M&Aの全体方針を決める基礎になります。

■ 企業価値の算定で見る主なポイント

  • 過去3期分の財務データ(売上・利益・純資産)
  • 処方箋枚数・薬剤師数・在庫状況・設備/不動産
  • 立地・処方元医療機関・競合環境・患者層
  • 経営者や従業員の勤続年数、地域との関係性

これらをもとに、仲介会社が「薬局の価値」を総合的に評価します。

■ 案件概要書の作成

企業価値の算定が完了すると、次は案件概要書(IM:インフォメーションメモランダム)が作成されます。

  • ノンネームシート(匿名概要書)
     薬局名を伏せた状態で、業種・売上規模・地域・特徴などを簡潔にまとめた資料。案件概要書からの抜粋とマスキングで作成
  • 案件概要書(IM:インフォメーションメモランダム)
     興味を示した買い手候補にのみ開示する、詳細な事業・財務データ資料

この2つの資料は、「買い手候補への打診」につながる重要なツールになります。

💬 ワンポイント:
この段階での情報の精度と表現が、
後の交渉スピードや条件に大きく影響します。
信頼できる仲介会社にサポートしてもらいましょう。

まとめ:M&Aの成否は準備段階で決まる

ステップ1~3は、いわばM&Aの「土台づくり」です。
ここを丁寧に進めることで、買い手候補との交渉もスムーズに進み、
より良い条件での成約につながります。

  • 目的を整理して方向性を決める
  • 信頼できる仲介会社に相談し、秘密保持契約を結ぶ
  • 薬局の価値を正確に把握・整理し、魅力を見える化する

この3つをしっかり行うことが、M&A成功への第一歩です。

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